1998(古→新)
〜譫言〜
7

9. 26/ 10.3/ 10.5/ 10.14/ 10.15/ 10.18/ 10.19/
10.23 11.1/ 11.2/ 11.5/ 11.8/ 11.11/ 11.19

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9. 26
 
チョキ
 
 
空には「空」という壁があるふうに見える
のだけど、驚いたことに、あれは底無し。

引力の糸を切り離されたとき、私は
闇や寒さや孤独に耐えられるだろうか。

林檎の海を泳ぎ切る術を知らない。
10.3
 
がかった天に、
しい電球が点けられた。
空気の色が変た。
だけど昨日の闇は相も変わらず,
 ここの角の辺りに淀みをつくっている。



10.5
 
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雑念の主 -1
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10.10/心からの微笑は何より鋭利でした。
10.14
 +

私のところの(表紙)タイトル、兼バナーに使って頂いている粗悪画像も炙り出しと同じなのですが、 こちらは文字が完全に見えなくなることはないと思います(危ういものもありそうですが)。 炙り出しとは逆で、元は他のページの色と合わさった時どんな色が出来るかしら、色の変わるのも悪くないだろう、というものでした。

しかし透明なものはいくら重ねたとしても、正面から見れば、ただの一枚と 見ることも可能──というよりむしろ、一枚の不透明に見えてしまうもの。 出来上がった不透明をいくつも見比べ、引き算することでやっと重なっている とわかるので、楽しみは個人的想像の閾を脱せずに終いました。


10.15
屈折 

今朝も黄色の空が見えた。(朝虹の空の色)
辺りを漂う無数の細かな水滴が、私まで色分けしにかかる。
様々な角度に折れ曲がってしまった私はどこまで行ったのやら。


10.18

透明といえば、ふと、9月の末頃書いた、浦島太郎のこと思い
出しました。そこで、私も「乙姫」になってみましょう。一体何が
やりたいのか...

〜 

あれからどれほど潮を数えたか知れません、
海の水はますます冷たく、いよいよ深くなっていきます。
それなのに、浦島様はまだお戻りにならないのですか。

遙かに澄み渡る天井が海も空も、そして地も、一つに
してしまおうという時、水平に延びる壁が世界を果て
まで切り裂いては、あなたの姿を泡と変えて流れていき
ます。ここからは手招きすることさえ、叶わないのです。

あの日、空が僅かに暗くなったのは、私の差し上げた
玉手箱の紐がとかれたせいなのですか。
私のことも煙と一緒に天に散ってしまったのならば、私
は空の煙を集めて雨雲にして見せましょう。

〜 

玉手箱はの伝説(9/21)の意味、「また戻ってくるために」です。
でもこんなこと言う乙姫だったら、あまり懇意になりたくない.....。


10.19/10.23の夢は睡郷へ移しました
 
灯
11.1 うつうつうとうと

彼は...確か土の中にいる。
その人の言葉をききたいと思ったので、日が落ちるのを
待つ。こういうことは夜がいい。 逢魔ヶ時、玄関の鍵を
そっとおろし、燐火の薄明かりを頼りに闇へと分け入った。

そういえば、この時間になると、決まって、一人の婦人が
淡い光に導かれて歩いてゆくのを見たものだが、彼女の
行く先をやっとわかったように思う。


11. 2 二度寝

灯

再び玄関の鍵がとかれた時は、もう空の端が白け始めていた。 墓標に寄りかかり、一人うつらうつら過ごした私は、結句 話を聞くことは出来なかったのだが、帰り道に一つ思い出した。 私が小さい時の、あれは盆。迎え火の消えかかる炎を惜しみ ながら聞いた。彼らは遠いところから盆に焚くこの火を目印に 帰って来るのだと。とすると、あの石の下には誰もいなかったということだろうか。

あの婦人はいつの頃からかふっつりと姿を見せなくなった。 諦めたのか、それともどこか、その遠いところまで行ってしまったのか。 盆まで待ったところで、どのみち彼女の灯を彼は見分けることが出来ないのだから。

こく こく...がくっ


11.5三度寝

そのまま起きてしまう気にもなれなかった私は
明け方の夢で誰かに遇会したらそれも良かろうと、
再び闇の中へ転げ落ちてしまった


11.8四度寝

今朝は葬式の夢だった。ある雪の日の夜明け前。
死んではだめだと泣き喚くのだけど、どうにもならなくて。
死ぬ運命の人は笑って言う。「そういうことになっている
から」   一人の願いの何と無力なこと。

目を覚ますととても寒々としていて、窓を開けたら雪の中に
鯨幕が掛かっているのではないかと、はらはらした。


11.11
magic

毎日飽きるほど黒服の行列を目にするわけでもないのに、
終いには今見渡す限りの人達が、私も含めて誰もいなく
なるというのは騙された心地だ。


11. 19 五度寝

偶然彼の残した雑記帳を見つけた。 思わず取り落としたノートの、ほつれた綴じ糸は歳月の重みに 耐えかねたのか、あえなくその腕をゆるめてしまい、一瞬のうちに 私は紙吹雪の中にいた。 といっても言葉を失ったわけではないので、適当に一枚ずつ読み始めた。
大体のところわかった。 ...いや、細かな内容はよくわかったのだが、実は何もわからなかった。 切れた糸、途切れた時間は全てをばらしてしまったようだ。 そこにあるのは意味をなさない細かな切れ端のみ。 今やパズルと化した紙片を見ながら、ただ呆然とするばかり。 彼はどこへ行ったのでもなく時間に撹拌されながら散らばっていったのだ。

諦めた私はぼんやり裏道を歩いていて、寄木細工を作っている家を見つけた。 間口から何気なく中を覗いてみると、上がりかまちに座っているのは、....例の婦人らしい。 ああしている彼女はパズルを組み立てることに成功したのだろうか。 彼女の作った見事な小箱を一つ買って帰った。

しかし、うつろなパズルは組み立てない方がいいのだが。  ジリリリ


11.19

以前、家からそう離れていない場所に石のごろごろした小さな空き地があったのを覚えている。 私だけかもしれないが、そういう場所は妙に魅力的に映るものだ。 そこを通ることがあると、何度か寄り道して帰った。 後に人に連れられてそこを歩いた時たまたま、あれは墓だよ、と教えられた。 言われてよく見てみれば、なるほど、散らばった石の欠片には所々文字が沈んでいる。 以後暫くそこを通る時は心なし足早になっていたようだ。 人の観念とはおかしなものでそうだと思えばそういうことになってしまう。

例えば人がいなくなり何もなくなってしまっても、 時にはそこに何かを求めてしまう。 私が認めれば、全ては存在するのだから。しかしこういう脳の働きを少なからず恨んでいる。 虚しいではないか。
残像のように視界を遮り、追えば滑って逃げていく幻影は、やはり残像のように闇の中へやわらく 滲んでいくのだとは思うが。




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