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ここでは大浦町内の一年間の変化を紹介します。
一ヶ月単位で大浦町の一箇所をカメラで撮り続けます。

第二回 かした山の一年
(2001年2月〜2002年1月)


大浦町の南側、坊津町久志に向かう途中に「かした山」と地元で言われる地域があります。「かした」とは鹿児島弁で「上手(かみて)」という意味です。
今回そこにある田んぼの一年を紹介します。
今回も田んぼですが、第一回が干拓という現代的で広い田んぼと違い、今回は昔ながらの風情ただよう棚田です。


のどかな所です
かした山


2/22 最初の一枚

寒さも峠を越した陽気な天気のこの頃、早速撮ってまいりました。


かした山2/22
田植え前の風景です。
今から耕運、そして田植えと忙しくなりそうです。



3/26 田植えの季節になりました。


かした山3/26
荒よみ(田に水を入れる前の耕運)も終わり、田んぼに水が入りました。
もう一度田をよんで、田植えの始まりです。
これから忙しくなります。世間は花見のシーズンだと言うのに・・・。


04/04 田植えの真っ最中!
かした山4/4
春といえども、お昼には夏のような暑さ。
肌も焼けるほどの暑さの中、田植えが順調に進んでいます。
今年は去年と違い、雨が降りません。
かなり見づらいですが、田植えをしているようです(まん中の田んぼの二段目)。
他の田んぼはどうやら田植えが済んだようです。


04/18 田植え一週間後
かした山4/17
田植えから一週間経ちました。
稲も順調に育ち、周りの草同様緑が映えてきました。


05/03 黄金週間
かした山5/3
5月に入り、大浦もすっかり初夏の陽気。
田んぼも緑がいっそう際立ってきました。


稲の生長5/3
今回から稲の生長も見ていこうと思います。
田植えから一ヶ月近く経っていますので、だいぶ成長しています。


3匹のおたまじゃくし
おまけ
田んぼにはつきもののおたまじゃくし。
稲の生長と共に彼らも大きくなっていきます。
後一ヶ月もするとかえるになって、ゲロゲロと鳴くことでしょう。



06/06 梅雨前線接近中
今年は去年と違い、雨が殆ど降りません。田んぼも干からびた所もあり雨が恋しくなっていましたが、ようやく梅雨に入りほっとしています。
しかし、ホームページ更新にはこの雨は災難です。そんな中、雨が止んだ時をみはらからって撮ってきました。
梅雨入り前に更新しとけば良かった・・・。





かした山6/6
一面緑一色になりました。夏ももうすぐですね。

稲の生長6/6
稲の生長も順調です。一ヶ月前と比べるとより分かります。
一ヵ月後は画面からはみ出すのではないかと心配です。


おまけ

先日、おおきつよしさんからリクエストがあったアコウの木を紹介します。

アコウの大樹
これがそうですが、う〜ん、さすがに梅雨時期、草の生長が早くよく分かりません。
実はこの木は、石垣を被うように生えており、根は石垣の隙間に入り込んでいます。
生命のたくましさを感じますね。


あこう【榕樹】
クワ科の常緑高木。紀伊半島以南の海岸に生える。高さ一二〜二〇メートル、直径一メートルに達する。葉は長さ一〇〜一五センチメートル、幅五〜六センチメートルの楕円形で、春、落葉するが落葉とほぼ同時に新芽がでる。雌雄異株で、実のようにみえる球形のいちじく状の花嚢(かのう)がつく。花嚢は小さい白点をもち、熟すと淡紅白色となり、中に淡紅色の花が密生。あこぎ。漢名、雀榕。

国語大辞典(新装版) 小学館 1988



07/01 梅雨の真っ最中
と、言いたいところですが、すっかり季節は初夏を通り過ぎ、真夏となっております。梅雨はもう終わりでしょうか?
さて、稲の方はといいますと・・・。
かした山7/2
う〜ん、6月とほぼ変わっていないような・・・。


しかし



稲の生長7/2
近くで見るとほら、こんなに高くなっています。
もう、後ろの景色が見えません。


しかも



穂が出てきた稲
稲穂もちらほら出てきました。
刈り取りまで後一ヶ月です。
台風が来なければ、今年も順調に刈り取れそうです。


おまけ
(最近恒例になってきたなあ)


ネム(品種改良)の花
我家に咲いたネムの木の花です。
綺麗だったから撮っちゃいました。


ねむのき【合歓の木】
マメ科の落葉高木。本州、四国、九州の山野の日当たりのよい所に生え、庭木ともされる。高さ六〜九メートル。葉は二回羽状複葉、長さ二〇〜三〇センチメートルくらいで柄があり、一〇〜二五個の羽片に分かれる。小葉は長さ一・二センチメートル内外の刀形で、おのおの羽片に三六〜五八個つく。六〜七月、枝端に頭花をつける。頭花は二〇花ほどの淡紅色の小さな筒状花からなり、花冠から長く抽出した淡紅色で長さ三〜四センチメートルの多数の花糸が目立つ。果実は広線形、長さ一〇センチメートル、幅一・五センチメートル内外の莢果で、一〇〜一五の種子がはいる。葉は刺激を与えられたり夜になると閉じ、花は夕方開く。樹皮を合歓皮(ごうかんひ)といい、駆虫薬、強壮薬などに用いる。和名は、小葉が夜になると閉じることによる。漢名、合歓・夜合樹。ねむ。ねぶ。ねぶた。ねぶのき。ねむりぎ。ごうかん。《季・夏》

国語大辞典(新装版) 小学館 1988


今回、写真を見れば分かる通り、大分日差しがきつくなってきました。
それで今までは、晴れた昼間を狙って(昼12時前後)写真を撮っていたのですが、今回から夕方(午後4時前後)に撮ることにしました。それでもこのありさま。
本当に夏の日差しって強いですね。




07/13&07/31 稲刈りシーズン
気が付けば大浦町は稲刈りシーズン。と言っても、今年は例年より早く、今月中に殆どの田んぼが刈り終わってしまいそうです。ここかしや山も同じで今日写真を撮りに行ったら殆ど済んでいました。


かした山7/13
7月13日の様子です。7月1日の時と殆ど変わっていません。


これが7月31日になると・・・。



かした山7/31
このように大分変わっています。


稲も


稲の生長7/13稲の生長7/31
左(7/13)、右(7/31)
たった2週間で大きく変わっています。
実も大きくなり、穂が垂れ下がってきた頃に刈り取りの為水を抜きますから、色も変わります。
いつもは8月に入ってからこのようになるのですが・・・。


刈り取り後の田んぼ7/31
刈り取り終わった田んぼです。すっかり綺麗になっています。


おまけ

これを見て痒くなった人、あなたは立派な田舎人です(笑)
いつも写真を撮っていた隣の田んぼです。
最近は殆ど見なくなってしまったのですが、ちょっと昔までは稲を刈るとこのように刈った穂を干していました。大浦では夏の風物詩だったと思います。
こうして乾燥させるのと共に稲の養分を実に集めます。その後しばらく干し(3日〜5日)、脱穀します。
脱穀した後のワラは、その他の作物に使ったり、飼料・肥料にしたり、場所によっては畳の材料に使ったりしました。
しかし、この作業は人手がかかる上、雨や台風の心配があるので、最近では刈ったと同時に脱穀する機械を使うようになりました(ワラは細かく砕いて田んぼに還元)。



08/13 稲刈りシーズン終了!
例年より1週間ほど早く米の収穫期が終わりました。周りの人の話を聞く限り、今年は豊作のようです。
今日からお盆。帰省客が多く、大浦町は普段と違う賑わいがあります。そんな頃のかした山の棚田は・・・。



かした山8/13
すっかり、何事もなかったような風景になっておりました。
これからこの風景が半年続きそうです。



刈り取り後の田んぼ8/13
7月31日に撮った写真とほぼ変わっておりません。
「夏草や兵どもが夢の後」って感じでしょうか。ここに一ヶ月ほど前まで稲が生えていたのが嘘のようです。



新しい息吹
しかし、よく見ると刈り取った稲の株からまた新しい芽が生えてきています。
生命のたくましさですね。

しかし、せっかく生えてきたこの芽もしばらくすると田んぼを耕運するので、その時枯れてしまうでしょう。
収穫が終われば、ただの雑草でしかないということでしょうか。人に依存して生きている生命の宿命でしょう。

収穫が終わりました。また来年まで静かな所になりそうです。




09/26 季節はもう秋
昼・夜とも涼しくなり、季節はすっかり秋。
他の地域では農繁期となりますが、大浦町は早期米ということも相まってどちらかというとのんびりしています。
さて、かした山は・・・。



かした山9/26
すっかり秋模様です。


刈り取り後の田んぼ9/26
稲を刈った後は耕運します。
ここかした山の田んぼも耕運したみたいです。
石垣も綺麗に払ってあるみたいです。
こういう管理をしなければ、棚田はすぐに荒れてしまいます。


おまけ

ポンカンの木9/26
かした山にあるポンカンの木です。
ポンカンは大浦町の特産品のひとつです。
田んぼの方は、これからあまり変化がありませんので、こちらも一緒に紹介していこうかなと思っています。



ポンカン9/26
まだまだ青いようです(ポンカンの収穫は12月〜1月)。
今の時期は、撤果(てっか)作業に追われます。
この作業は、育ち始めたポンカンの実をより大きくする為に、実の選定を行い、適当に間引きます。
今年は、台風などの影響は殆どなかった為に実がごろごろなっているようです。




10/30 秋も深まったかした山
このところ朝夕が大分寒くなり、そろそろコタツの季節になりそうです。
朝露もなかなかとれなくなり、柑橘類収穫の時期が近づいてきました。



かした山10/30
相変わらず、殆ど変わっておりません。


刈り取り後の田んぼ10/30
こちらも先月と殆ど変わっておりません。
雑草が秋を感じさせるくらいです。



ポンカンの木10/30
先月から紹介し始めたポンカンの木です。
こちらは田んぼと違い、これからが忙しく実りの時期を迎えます。
この木は樹齢40年近くらしく、大浦町でかなり早い時期に植えられたのだとか。



ポンカン10/30
結構色がついてきました。
先月の写真と比べると光の関係を入れてもよく分かります。
日のよく当たる所ではもっと色がついていました。
収穫期が12月からなので来月辺りには、もっとオレンジ色になっていることでしょう。




11/30 冬直前のかした山
このところ晴天続きのかした山。昼間はぽかぽか暖かく、ついついボーっとしてしまいそうです。
しかし、写真を見ると良く分かりますが、日の差し方が冬が近づいていることを感じさせます。



かした山11/30
相変わらず殆ど変わっておりませんが、
草木の色が季節の移り変わりを教えてくれています。



刈り取り後の田んぼ11/30
こちらも同じく殆ど変化なし。


ポンカンの木11/30
ポンカンの木
こちらは、収穫期が近づいているので変化があります。
ポンカンの実が大分色づいてきました。



ポンカン11/30
太陽が良く当たる部分は良く色づいています。


中は殆どできあがっています
外の色はまだなものの、中はしっかり出来上がっています。
食べてみると、少し酸味がありますが、美味しいです。
あと1〜2週間で収穫できるでしょう。




12/16 今年も後わずか・・・
師走に入ると本当に月日の経ち方が早いなと思う今日この頃。
今年も後わずか、かした山は・・・。



かした山12/16
相変わらず、変化の乏しい棚田。
しかし、この変わらない変化が良いのかもしれません。
しっかり、耕運されていますし。



刈り取り後の田んぼ12/16
少しばかり雑草が伸びましたでしょうか。


ポンカンの木12/16
こちらは、ポンカンの木。
実の色が大分ついていつ摘み取っても良い感じになっています。
9月の頃の写真と比べると、実の重みによって木が横に広がっています。



ポンカン12/16
綺麗な色です。後一週間しないうちに摘み取られるでしょう。



01/30 最後の月になりました
いよいよこのシリーズも最後の月になりました。
最後の月はどうなったのでしょうか?



かした山1/30
最後ということで、いつもと違う角度から撮影しました。
殆ど変化がありませんが、来月から今年の稲の準備が始まります。



刈り取り後の田んぼ01/30
先月からすると耕運したみたいで、雑草の伸びが変わっています。


ポンカンの木1/30
ポンカンの木
こちらはすっかり収穫が終わったみたいで、綺麗に実が取り除かれています。
また来年の収穫に向け、いろいろな作業が待っています。


おまけ


不採用になった棚田
いつも紹介している棚田からもう少し南に行った所にある棚田です。
写真は、4月の丁度田植えが終わった頃のものです。
このコーナーが始まる時、どちらを紹介するか悩みました。



総括


大浦町でも山奥にあるかした山。
前回の「干拓の一年」とは違った一年が楽しめたのではないでしょうか。

一年を通すとある時期を越えれば殆ど変わらない風景になってしましたが、自然に同じ風景はありません。
やはり干拓と同様、人間の手が入ればこその同じ風景です。
特に、この棚田は手入れが大変です。
田んぼはもちろんのこと、石垣や田んぼまでのあぜ道の手入れ、更に山ですから獣の被害もあることでしょう。

人が田舎を楽しむ・懐かしむのにこの棚田はかかせません。
何故か落ち着いた気持ちになります。
今回で「かした山の一年」は終わりですが、皆さんも機会がありましたら一度覗いてみて下さい。
安らぎを感じる空間であることは間違いありません。

2002年1月30日 へたれ



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