■ 道草くいながら、モードの話

 

これまで、最も基本的な人工呼吸の方法である「マウスツーマウス」を機械にさせるには? という話をしてきましたが、この方法は自発呼吸の全くない患者さんや治療上自発呼吸を止めている患者さんに使われます。 しかし、人工呼吸器をつける患者さんはそういう人ばかりではありません。
意識もはっきりしているし、自分で呼吸のできる人の方がはるかに多いのです。

え? どうして自分で呼吸ができる人に人工呼吸をするの?・・・という話は別の機会にしますが、そんな人のための人工呼吸の方法というものもあるのです。 というより、今やこっちの方が主流といっても過言ではないでしょう。
この、患者さんによって使い分ける人工呼吸の方法を「モード=換気様式」といいます。

モードの話をするときにどうしても理解し、覚えてほしいことがあるので、ある陳腐な例えを使ってお話しましょう。
人工呼吸器を理解する上での大まかな考え方という観点で読んでみてください。

・・・でも、結構、無謀な例えかも・・・(笑)
もし、さっぱり意味がわからなかったら・・・・・・・きっぱり忘れてください。(笑)
そして、ある程度呼吸器がわかるようになったとき、また読み直してもらえると笑えるんじゃないかな? ヽ (´ー`)

あるレストランに食事に行くと想定してください。

1、さっき、1時間も外でジョギングしたから、すっごくお腹が空いたぁ〜。
  で、無性にステーキが食べたい気分だわぁ。

2、さて、どのお店に入ろうかなぁ?
  あっ、ここ最近出来たステーキ専門店。 ここに入ろうっと。

3、メニューがきました。
  さてと、何にしようかな? じゃ、この「スペシャルステーキセット」お願いします。

4、するとウエートレスに聞かれました。
  「ヒレとロースとどちらになさいますか?」
  「何グラムになさいますか?」
  「焼き具合のお好みは?」
  「パンとライスはどちらになさいますか?」
  「お飲み物は何になさいますか?」
  「お飲み物はお食事といっしょでいいですか?」

  じゃ・・・「ロースの200gをレアで。パンにしてホットコーヒーは食後にお願 いします。」

5、さぁ、出てきたぞぉ〜。
  あーん、おいしい♪ しあわせ♪
  でも私には200gは多かったわ、食べきれないぃ〜。
  今度きたら150gにしようっと。

さて・・・これを人工呼吸器をつけるときに置き換えてみましょう・・・。 >なんでや!という突っ込みはなし。(笑)

1、無償にステーキが食べたくなったのには、ジョギングしたあとだからという理由があるように、
  患者さんに人工呼吸を開始するにもちゃんと理由があります。
  そしてその理由、つまり患者さんの状態で呼吸管理の方法が変わってきますので、
  理由を把握することが大切です。

2、入るお店に相当するのは人工呼吸器の機種です。
  機種はピンから切りまで・・・。 屋台から一流のレストランまで。

  そりゃ一流のレストランで食べるステーキはおいしいでしょうけど、
  懐具合や着ていく服にも気を使わなければなりません。
  その点、屋台は誰にでも、気軽に入れてとりあえずお腹を満たすことはできます。

  どの機種がいいとか悪いとかではないのです。
  ないものは選択できませんし。(笑)
  ただ選択する余裕があるときは、その患者さんに必要な機能を持った呼吸器を選択するようにし、
  余地のない場合は、あるもののメリットを最大限に使おうという気持ちを持ちましょう♪

3、「スペシャルステーキセット」に相当するのは、人工呼吸の方法(モード=換気様式)です。
  おなかペコペコなのにトースト1枚では、 とても満足できないのと同じように、
  理由、目的にあったモードでなければ、患者さんは満足できません。
  モードを選択するのは医師ですが、果たしてこれは患者さんを満足させられているのか・・・、
  その観察をし、情報を提供していくのは看護師の大きな役割だと思います。
  

4、ところで、一口に「スペシャルステーキセット」と言っても人の好みによってその内容が異なるように
  換気モードを構成する呼吸器条件も患者さんに合った細かな設定が必要です。

  ここで注意したいのは、換気モードによって設定条件は異なるということです。
  もし、「ステーキセット」じゃなくて「ナポリタンスパゲティー」を注文したら
   「焼き加減は?」と質問されることはありません。
  モードとそのモードに必要な設定条件は一緒に覚えましょう 。
  というより、ひとつひとつのモードがしっかりわかれば、設定条件と言うものはおのずと理解できます。

  中途半端に覚えていると「ナポリタンで焼き加減をレアにして下さい。」と言ってるのと同じぐらい
  恥かくことになりかねません。(^_^)
  ・・・いや、いるんですよ、うちにも。そして本人は気づいてもいない場合が・・・。(笑)

換気モードとは必要条件の組み合わせの名称です。で、開発者や説明する人の考え方で呼び方が多少異なります。(これが、呼吸器をややこしくしている一因ともいえますが・・・。)

ステーキセットを頼むとき、決めることって何だっけ?・・・じゃなくて、「焼き加減を調節してくれるステーキに、ライス、パン、サラダ、飲み物など好みで追加できるメニュー」を「ステーキセット」と呼ぶ、というように、内容から把握していきましょう。

そうすると、換気方式の概念やメリット・デメリットが理解できて、看護に応用が利くようになります。
呼吸器管理はテスト問題ではありません。
理解して、看護に結び付けられなければ、丸暗記しても意味がない!!ということを頭の隅においててくださいね。

言いたいことが伝わったでしょうか・・・・。 大いに不安・・・。(笑)

 


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