■ 二人三脚 〜 トリガー

 

では・・・Stage1で話してきた「調節呼吸」って方法を意識のある患者さんに使ったらどうなるでしょうか。
あなたが、今いきなり「マウスツーマウス」をされたら、と考えると容易に想像がつきます。
きっと苦しいに違いありません。
まず患者さんの呼吸と器械の換気のリズムが合わない場合が考えられます。
患者さんは息を吐こうとしているのに、器械が無理やり空気を押し込んできたら・・・。
患者さんはむせこみ、器械は「ピー」と甲高いアラーム音を発します。
この状態を「ファイティング」といいますが、患者さんと器械が喧嘩してるようなものですね。

しかし、これじゃ意識のある患者さんに呼吸器を使うことは難しいですね。
そこで、喧嘩しないで仲良くする方法が考えられました。
それが「トリガー(または感度sensitivity)」です。
トリガーって引き金って意味で、 何を引き金にして、器械による送気を始めるか、というものです。

人と人工呼吸器は二人三脚。
お互い好き勝手やっていては、転んでしまいます。
二人三脚の時は「一、ニ、三」ってかけ声で足を出しますよね。
患者さんの呼吸のし始めを、送気を始めるタイミングとして器械にもわからせるように設定するのがトリガーです。

では、器械はどうやって患者さんの呼吸のし始めを認識するのでしょうか?
それには二つのタイプがあります。

1.圧トリガー

呼吸器の回路は原則として閉鎖回路なので、患者さんが息を吸い始めると回路の中にわずかな陰圧が生じます。
器械に回路内の圧を測定させ、 一定圧以上の陰圧になったら「ご主人様 が息をし始めた!」と認識させるのです。
じゃどれぐらいの陰圧を患者さんの呼吸のし始めと認識させるか? とあらかじめ設定しておくのがトリガーレベル、感度というダイアルです。
あまり敏感にすると呼吸器回路が揺れときに生じる圧の変化を誤感知して、患者さんは息を吸ってもいないのに送気が始まる可能性があります。
逆に あんまり鈍感にすると、患者さんはいっぱい息を吸わないと器械にわかっても らえないということになります。 吸い疲れた頃に送気が始まるとファイティングの元です。
通常は−2cmH2Oがいいと言われていますが、 最近の上等な機種は感度が内蔵されていて設定しなくてもいいようなものもあります。(EVita2は-0.7mbar固定)

2.フロートリガー

呼吸器回路の中に一定のガスを流しておくと、患者さんが息を吸い始めたときにガスの量が減少します。
フロートリガーは流したガスの量と帰ってきたガスの量の差でで自発呼吸を認識させる方法で、圧トリガより繊細で誤感知も少ないようです。
こちらは数字で設定することはほとんどありません。
ただ、小児のようにカフなしの挿管チューブを使っていて、空気のもれがある場合などは、 うまく感知しないことがあるので注意が必要です。

どちらのトリガーを採用しているかは機種によって異なりますので、確認して下さいね。
トリガーの単位を見れば一目瞭然♪ 
単位がcmH2Oなら圧トリガーです。

両方あって、選択できるものもあります。
無難なのはその機種の標準値に設定しておくこと。^ ^

 


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