■ 器械的「マウスツーマウス」(1) 〜 時間のわりふり

 

また「マウスツーマウス」に戻りましょう。
患者さんに息を吹き込んで、口を離し、またしばらくして息を吹き込みます。
実際行う時はあまり意識をしませんが、めちゃくちゃ早くやったり、のんびりやったりしませんね。
ある一定のリズムでやっているはずです。

このリズムを器械に覚えてもらうには、具体的にどういうことを命令すればいいのでしょうか?
そう、時間をわりふってあげるのです。
「○秒入れて、○秒放す」、これを繰り返せ と指示すると規則正しい人工呼吸ができますね。

「マウスツーマウス」で息を吹き込むのに相当するのが、器械による送気でしたね。
これを吸気相といいます。(患者さん側から見た表現なんです。)
英語ではInspiration、略して ""。
吸気にかかる時間は、吸気時間(Inspiration Time)、
略して "" 。

 

一方、「マウスツーマウス」で口を離している間は、器械も呼気弁を開放するだけで何もしないんでしたね。
これを呼気相といいます。
英語ではExpiration、略して "E"。
呼気にかかる時間は、呼気時間(Expiration Time)、
略して "" 。

 

さて、日頃私たちが息をするとき、息を吸う時間と吐く時間は同じでしょうか?
考えたこともないと思いますが、じつは吐く時間の方が長いんです。
ですから、呼吸器にもそれを教えなければなりません。
通常、人工呼吸器には吸気と呼気の割合をおおよそ1:2になるように設定します。
この割合を吸気相と呼気相の割合として、"I:E(アイイーヒ)"といいます。
機種によっては、T と T を直接決めるものもあるし、I:E比という形で決めるものもあります。

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1

 

例えば・・・、
吹き込む時間(吸気時間)を1秒、呼気弁を開放する時間(呼気時間)を2秒と決めると
I:E
比は1:2ということになるし、1回の呼吸に3秒かかることになります。
そうすると、1分間では20回の人工呼吸が行われることになります。

このアニメは、T=1秒 T=2秒  I:E比=1:2 に設定してあります。
1分間に20回、人工呼吸していますでしょうか? (^ ^ゞ
(お使いのブラウザによっては、設定どおりに動かないかも・・・。 IE5.0以上推奨 です♪)

このように、T とT が決まれば I:E比や人工呼吸の回数が計算できるし、I:E比と回数を決めればT とT は必然的に決まってしまうというような、連動する条件がいくつもあります。
何を先に決めるかは機種によって違っているので、使っている呼吸器がどのタイプか知っておくことが大切です。

なお、生体における呼吸というしくみはもっと複雑で、人工呼吸器で行えるのは「換気」に過ぎません。
以後、機械的人工呼吸を「換気」といい、その1分間あたりの回数を、"換気回数"といいます。
英語ではFrequency、略して"f"で表します。(本や機種によっては"" Rate とするものもあります。)

というわけで、人工呼吸器に仕事をさせるには、まず時間をわりふってあげることが理解できましたか。
^ ^

 

 


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