■ モードとその表現の違い

 

人工呼吸器の理解を困難にしている大きな原因に、使われることばの曖昧さと多様性があると考えています。
呼吸器開発者(メーカー)は、独自性を出すためにいろいろなことばを作り出しています。
これは何も呼吸器に限ったことではありませんね。
DoCoMoの「i-shot」とVodafoneの「写メール」、ことばは違っていても、携帯電話で写真とってメールと一緒に送れるってことでは同じです。
通信システムとか細かいところは違うんでしょうが、使う方にとってはそんなことは知らなくてもいい。
操作さえ覚えれば同じ目的を果たすことができますね。

呼吸器関連にも、意味はさして変わらないことばが結構あります。
PCVのところでも書きましたが、時代の流れで生まれたり消えたりすることばもあります。
その他にも いくつか出てきましたね。

それでは、これまで勉強してきた最も単純な「器械に何から何まで全てお任せするわ」というマウスツーマウスのような方法に絡んだことばをみてみましょう。

「Stage1 とりあえずまとめ」 では、モード(換気様式)名を、調節呼吸とか強制換気と呼ばれると書きました。
実はもっとたくさん類似したことばがあるのです。

「気道内に陽圧を加える方法」ってことでできたことば
(⇔ 正常な呼吸:陰圧呼吸)
IPPV
CPPV = IPPV+PEEP

間欠的陽圧換気

intermittent positive pressure ventilation

持続的陽圧換気

continuous positive pressure ventilation

この「間欠的に」というのは、吸気の時だけという意味で、IMVの「間欠的に」とはちょっと意味が違う。 この「持続的に」というのは、吸気の時も呼気の時も、という意味。つまりPEEPがかかっていると呼気時も陽圧になるのでこう呼んで区別している。
 
「換気の仕方を全て器械が決める」という意味でできたことば
(⇔ 自発呼吸)
強制換気

mandatory ventilation

設定条件で決められた換気パターンで強制的に換気すること
1回の換気の仕方として使われる

 
強制換気の頻度で区別したことば
CMV
⇔  IMV

(continuous mandatory ventilation)
持続強制換気


(Controlled mechanical ventilation)
器械によって強制的に行われる換気
は↓の 調節換気 = Controlのこと

自発呼吸の中に強制換気が間欠的に入る方法

間欠的強制換気

(intermittent mandatory ventilation)

このことばは、IMVに対して「持続的に」と訳され、この「持続的に」は「いつも」とか「呼吸の全てに」という意味がある。 この「間欠的に」というのは、全呼吸に対して「時々」という意味で、IPPVの「間欠的に」とは意味が違う。
 
一般にモード名として使われていることば
↓ふたつの機能を兼ね備えたモードを、Assist/Control
とかA/Cとかいう。
 
調節換気 = Control
補助換気 = Assist
(SIMV)
設定された一定の時間間隔で始めるもの
トリガーを設定し、患者の吸気に合わせて始めるもの
(自発呼吸の中に強制換気が間欠的に入る方法、かつ、換気のタイミングは患者が決める)
自発呼吸がないとき、換気のタイミングは器械が決める
自発呼吸があれば、換気のタイミングは患者が決める
 
強制換気を何で規定しているかで区別したことば
PCV
VCV

圧規定式強制換気

Pressure Controlled ventilation

量規定式強制換気

Volume Controlled ventilation

いわゆる「従圧式」と呼ばれる圧を決めて強制換気する方法
いわゆる「従量式」と呼ばれる量を決めて強制換気する方法


多くの呼吸器関連の本を読んでみると、表の中のことばがごちゃごちゃと出てきます。
私が最初に挫折しそうになったのも、この何がどう違うんだかよくわからないことばに振り回されたからでした。
今でも上記のことばが組み合わされて使われることも多いので、文章で説明するのは非常に難しいですね。

 


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