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住職のコラム(119) 

葬儀の控え室ではこんな話をしております

寺院イメージ

お通夜の儀式にうかがった際に、控え室に担当者が打ち合わせに来てくれます。もちろん儀式の打ち合わせをしてくれるのですが、小生の場合は1分ほどで終わります。
「いつもの通りで」
はじめのうちは戸惑っておられましたが、最近は私の考えを理解してくださっているようで有難いと思います。私に合わせてもらうのではなくて、私が担当者・司会者に合わせます。譲ってはいけないものは譲りませんが、譲ってもゐ所は譲ります。
その後、守秘義務の範囲でご家族の状況をうかがうようにしています。
一方では、先んじて葬儀依頼の電話の後、手前味噌で恐縮ですが、担当者が私の思いを理解してくれていて、必ず依頼書とは別に会葬お礼の原稿を送ってくれます。
霧島市国分周辺のすべての葬儀社の担当者とは可能な限りコミュニケーションをとり、お互いの立場を理解し合い、尊重しつつ、「協力」仕合ながら、儀式にと臨むべきだからです。大概10年以上の付き合いがある方ばかりなので、私も相手の考えてることが大体分かりますし、担当者も正福寺の考え方を理解してくれており、とてもやりやすいといったら語弊がありますが、ことは進めやすいと感じます。
葬儀は僧侶だけでは執行できません。
みなで協力し合いながら始めて、ご遺族さまのお悲しみに寄り添うことができると思います。

「教行信証・化身土巻【60】・注釈版聖典409頁・現代語訳521頁」にはこう説かれています。 
「仏と菩薩は優れた医者であるから善知識という。なぜなら、病のことも薬の こともよく知っており、病にあった薬を与えるからである。」とあります。
それぞれのご家庭に即したお話をさせていただくことで、よりご法義を理解いただきたいと願うからです。

あるとき打ち合わせの後、こう尋ねてみました。
「往生の素懐って意味分かる?」すると一言「分かりません。」多分そうだろうと考えていました。
また、別の担当者にもこう聞いたことがあります。
「棺のうえの紐、あれ何?」帰ってきた返事はやっぱり「分かりません。」
「修多羅っていうんだよ」と伝えました。
さらに「袈裟とはなんぞや?」やっぱり「分かりません」

直接遺族と話をされるのは、担当者の方です。もっというと、ご遺族さまはやはり僧侶には直接聞きづらいことがたくさんあられることと思います。であればなおさら葬儀社さんが何を理解していないか察することでそのことをお伝えし、理解をもらうことでご遺族さまに話を取り次いでくれますし、そのことを通じて悲しいご縁を無駄にせず葬儀を執行する意味を理解いただき、同時に仏法聴聞のきっかけとしていただけるからです。
全体的に、正福寺にかかわる葬儀の担当者の方々は、100%ではありませんがよく勉強しておられると感心しています。
私も国分隼人のみならず、鹿児島市や福岡県までうかがいましたが、時には「おいおい」と感じることも多々ありました。聞けば1級葬祭ディレクターの資格を取るための勉強を、時には仕事が終わってから深夜に至るまでしているとも聞いたことがあります。私も爪の垢を煎じてもらって飲まなければいけませんね。

話が少し脱線しましたが、まず「修多羅」について。
*修多羅(お経と訳す・「尊号真像銘文」【6】 注釈版聖典652頁・現代語20頁には
 「修多羅はインドの言葉であり、仏の説かれた経典をいうのである。仏教には大乗があり、小乗があって、これらの経典をみな「修多羅」という。ここで「修多羅」というのは大乗のことであり、小乗のことではない。浄土の三部経は大乗の経典であり、この三部の大乗経典によるというので ある。」
と説かれており、これを受けて正信偈には天親菩薩は「浄土論」で「依修多羅顕真実・浄土の経典に基づいて阿弥陀仏のまことをあらわされ」とあります。
また、ちなみに七条袈裟・袈裟とは悟りの世界にいたる標識のこと、口伝鈔【8】・注釈版聖典886頁・現代語訳76頁には
「袈裟はすなわち過去・現在・未来の一切諸仏のさとりを開いたことを示す標識としての尊い礼服である。」とあります。
いずれも*真実とはなにか*をお示しくださっているのだろうと私なりに解釈 しています。
実は最近まで私も修多羅・袈裟の意味の知りませんでした。(*゜∀゜*)いい勉強になりました。
なお、「往生の素懐」については、安満 浩二先生のご母堂さまをなくされた素直な気持ちを正福寺ホームページに寄せてくださるとのことでしたの で、その原稿に照らし合わせながら、お伝えしていきたいと考えております。

【令和2年11月2日作成・文責・住職釋哲了】
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