夢育講演会

 2月3日(土),旧指宿市にある家族温泉「野の香」や古民家れすとらん「梅里」の女将,今奈良恵さんを講師にお招きし,「祖父の遺志 夢に生かす」を演題に「夢育講演会」を開催しました。指宿商業高校の特色ある教育活動である株式会社「指商デパート」の一期生でもあり,現在も取締役として後輩のサポートにあたっておられます。

地元指宿で魚屋を営む父が作るおいしい魚のすり身を食べてほしいとの思いで飲食店の開業を目指し,調理師の修行を経て指宿に戻る。しかし,病気療養中の祖父から「みかん畑の温熱として利用していた温泉の源泉を甦らせてほしい」と頻繁に言われ,温泉施設の起業を決心。電気も水道もない環境から,ようやく開業にまでこじつける。しかし,スタッフが次々と辞めてしまう。温泉のことしか考えていなかったことを反省し,スタッフやお客さんとのコミュニケーションを大切にするなど,常に「感謝」の気持ちをもって笑顔で接することを心がけた。 経営も軌道に乗ったある日,突然温泉が・・・出ない!! 再開のめども立たず,スタッフもやむを得ず解雇。廃業も覚悟したが,そのスタッフから「再開するまで待ちます」の言葉。この言葉で「よ~し温泉を掘るぞ」と決意する。 「温泉施設の多い指宿に新たに温泉を作ってもお客が来るわけがない」という周囲の猛反対を押し切って作った貸し切り専門の家族温泉は,温泉の癒やしとスタッフの笑顔で大繁盛店となった。 そして,祖父の夢を叶えた後,ついに自分の夢であった飲食店経営をスタート。古民家を改装したランチ専門のレストラン。さらに最近,指宿駅近くに居酒屋もオープンさせた。

 講演の最後に今奈良さんが話されたのは,「夢を目標に変える!!」ことの必要性です。「夢」とは,寝るときに見る夢と同じ字ですので,現実世界ではなく,頭の中だけにあるものです。だから実際にそれが実現できるか,どうやるのか,いつまでにするのかなど,現実世界の縛りや制限は一切関係ありません。一方,「目標」は英語で「ゴール」です。つまり,何かしらの行動を起こした先に達成したい願望です。こちらは現実世界と深く結び付いています。よく「しょせん夢だし,叶いっこないよ」なんて自虐的なセリフや「いつまでも夢みたいなこと言うな」みたいなやりとりを聞きますが,そんなのあたり前です。頭の中で想像しているだけなのですから。でも,もし夢を本当に叶えたいのなら,その願望を頭の中から現実世界の土俵に引っ張り出して「目標」に置き換える。それを達成する期日や手段を決める。そして,それをさかのぼって今すべきことをしっかりやる。今奈良さんの伝えたかったことはきっとそういうことなのでしょう。
 「今の夢は何ですか?」の生徒からの問いに,今奈良さんは「とてもいい質問ですね。私のこれからの夢は,規格外として廃棄される指宿のおいしい野菜たちに命を吹き込むことです。販売所を作ったり飲食店で利用してもらったりしようと考えています。」と話されました。
「温泉」「飲食店」「規格外野菜の利用」と次から次にあふれ出てくる夢への挑戦に,生徒の感想文には「すごい」「自分もがんばりたい」などポジティブな意見がたくさん見られ,これらからの自分の生き方を考えるとてもよい機会になりました。
2018年02月03日