むかし駄菓子屋やお祭りの屋台に"まきとり"っておもちゃがあったの、ご存知ですか?
小さな笛の先に ろう紙でつくった紙の袋がくるくると巻いてあるんです。
で、吹くとぴゅっと伸びて、放すとくるくると元の状態まで戻る。
この様子から"まきとり"って名前がついたんでしょうね。
では、このまきとり部分が5本ついた笛を想像してください。(ここからはイメージでね。)
これを、ぴゅっ、くるくる、ぴゅっ、くるくる、と遊んでいます。
すると唾が入り込んだ袋があって、他の4本の袋より膨らむタイミングが遅くなってきました。
そして、しまいには唾でくっついて膨らまなくなりました。
その1本を膨らまそうと、いつもより強く吹いたら、他のどうもない袋が破れちゃった・・・・。
もうお分かりでしょうが、このまきとりの袋の部分は"肺胞"の比喩です。
唾が入って膨らみにくくなって、ついには膨らまなくなったのは"無気肺"を起こした肺胞です。
で、膨らまないからといって、やみくもにに一回換気量を増やしたり、圧をあげたら肺胞が破れて"気胸"を起こしてしまいました、って例えでした。
では、どうしたら気胸を作らずに、無気肺を防ぐか・・・・・考えたんですね、誰か賢い人が。
まきとりの袋が全部巻き取っちゃうから、袋がくっついて膨らみにくくなるんじゃないか!
じゃぁ、くっつく前で止めちゃって、次の ぴゅっ をはじめよう。
すっごく簡単にいうと、これが、PEEPです。
Positive Endexpiratory Pressure = 陽 呼気終末 圧 で 「呼気終末陽圧」となります。
私たちは何気なく呼吸をしていますが、大気圧の中で呼吸をしているんですよね。
呼吸器関連では、便宜上、息を吐き終わるところを 0cmH2O と考えます。
この息を吐き終わるときに 5cmH2Oとか10cmH2Oとかの圧をかけてあげるとと
肺胞がぺっちゃんこになりにくいので無気肺を予防することができるわけです。
最初に話しましたが、呼吸器をつけている人は"呼気弁"が開いたとき息を吐くことができます。
息を 吐き終わるちょっと前で、気道内圧が0cmH2Oにならないように調整しているのがPEEPです。
PEEPのかかった肺胞は、いつもより少し膨らんだ状態で呼吸を繰り返すことになり、この間にちゃっかりガス交換も期待できるって寸法です。
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PEEP 0
まきとり紙は最後まで巻き取るので、中に唾などが入ってしまうとだんだん膨らみにくくなり、しまいにはくっついて広がらなくなる、の図
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PEEP あり
まきとり紙が最後まで巻き取らないようにわずかな圧をかけてやると、唾などが入ってもくっつきにくくなり、全部きちんと膨らむ、の図
←は "ピープ"じゃなくて"ピース"(笑)

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