透明な水の中を赤い一本の糸がくだっていく。 頼りなく消え入りそうに、しかしどこか放漫に。 何処まで続くのか確かめてみたくなるが、それを知る術はない。 この糸が切れた時、それを確認する人がいなくなってしまうから。 |
いつか、画用紙ではなく水に色を塗って遊んだ。 青い水が気に入った。日に透かした水は、 この世の全てを透明に染め上げた。 |
彼女はその洗剤をパイナップルジュースだと言ってきか なかった。そしてある日、ついにそれを口に流し込んだ。 本来の味、本来の意味など、もう彼女にとって問題では なくなっていたのかもかもしれない。 彼女のベッドの下に空になった容器が転がっていた。 |