雨というと心臓を思い出す。 それは初めて聴く心臓の音だったかもしれない。 いつのことだったか(殆ど忘かけている頃)、 雨に濡れた薄暗い午後、なぜそういう話になったかはわからない。 ここに心臓があると言われたのでさわってみた。 濡れた布を伝ってくる温かさと僅かな振動を感じた。 下らない質問をたくさんした気がする。 なぜ動いているの?止まったらどうなるの?その他。
.....結局曖昧にしかわからなかったが、雨の滴で出来た薄い 水の膜は箱眼鏡のようにそこにある何かを覗かせてくれたのかもしれない。