甲斐路・セキレイ(赤嶺) ・・8月〜12月

 苗木のカタログには、 「着色濃厚で、粒の根元まで着色し、極めて糖度が高い。」 と書いてある赤茶色卵形の品種ですが、 南の海に近い温暖な土地で、昼と夜の寒暖の差が小さいものですから、 濃い赤色になるまで着色するのを待ってると、実が軟くなってしまいます。 お客さん達の評判では、「そろそろ粒の先っぽが赤くなってきた。」って頃でも、 サクサク感のある歯ごたえで、上品な甘さで、好まれるようです。 枝の先端や、強い日差しの当たる房は、濃い紅に色着くこともありますけど、 写真のような色着き具合でも、両手がベトベトになるくらいに甘いですから、 色着きは、あんまり気にしないことにしてます。

 セキレイは、甲斐路の早熟着色系枝変わり品種で、 甲斐路の方が少し色が薄かったり、少し粒が大きかったり、 甲斐路とセキレイは、違う品種なんですけど、 同じところに植えてあって、同じような色形をしてるものですから、 あんまり気にしないことにして、 最初に植えたのがセキレイだったこともあって、 まとめて「セキレイ」と呼んでます。

 ロザリオ同様、両手で皮をむいてから食べるんですけど、 皮が薄く、むいてる途中で切れやすくて、むけにくい感じがしますから、 リンゴみたいな感覚で、皮ごと食べる人も多いです。

 今のところ、この辺りでは、セキレイの生産農家が少ないですし、 巨峰の収穫が終わると、 「ぶどうの収穫が終わった。」って雰囲気になりますから、 あんまり知られてませんけど、  雨風の当たらないテラスの下や、 ビニールハウスの中に植えてありますから、 12月まで、ツルが飛来すしてる頃にも、収穫できます。 ツル見物の御土産として、ちょっと早めの御歳暮として、 かなり珍しいと思いませんか..?。

 最初にテラスの下に植えたセキレイは、 夏休みのぶどう狩り、御中元の頃に、 駐車場と休憩所を日陰にするのが目的だったものですから、 テラスで日光が遮られて、苗木のカタログに書かれてた時期よりも熟期が遅れて、 巨峰の収穫が終わる頃、10月頃から収穫を始めてました。 巨峰の収穫が早く終わりそうなときには、 果袋をはぐと、色着きも早いものですから、 9月上旬に収穫を始めたり、熟期を調整してました。

 最近は、セキレイの需要が増えたものですから、 台風の雨風にも負けないくらいの頑丈なトンネルハウスを作って、 その中にもセキレイを植えて、 夏もビニールをはりっぱなしにして、雨風が当たらないようにしてあります。 路地よりも日差しが弱いですけど、 テラスの下と比べると、日当たりが良いので、 果袋をしたままでも、9月には、少しづつ色着いてきます。

 日差しの弱いテラスの下でも、果袋をはぐと、色着きは良いんですけど、 山に食べ物が少ないときには、鳥に狙われてしまいます。 一粒食べられたり、クチバシでつっつかれたりすると、 そこから甘い汁が垂れて、他の粒もベトベトになって、 虫が寄ってきて、一房全部ダメになってしまいます。 ですから、鳥が寄ってくると、爆竹とロケット花火で脅しながら、 少しづつ、そろそろ収穫しそうかなってくらいの房数だけ、袋をはぎます。 そして、毎日のように見て回って、 鳥に食べられたりして、汁の垂れた粒は、丁寧に取り除いて、 他の粒に被害が広がらないようにしてます。
 もっとも、果袋をはいでなくても、一度食べて味くろた(味を占めた)鳥は、 果袋をしてても、食べに来るようになります。 カラスは、枝の上や、ぶどう棚の針金の上にとまって、 果袋を食い破って、房の上の方の粒を食べます。 そして、ヒヨドリは、果袋の下で、ハネをパタパタさせて、 ヘリコプターみたいにホバーリング状態で飛びながら、 僕らが色着き状態を見るために果袋の下を空けといたとこから、 クチバシを果袋の中に入れて、房の下の方の粒を食べます。

 運送に強く、日持ちするのも特徴です。 シーズン中は、目の前の木にぶら下がってますから、 冷蔵庫で保存するってことはないんですけど、 12月の最後に収穫するときには、自分達で食べる分くらいは、 大事に冷蔵庫に入れておいて、2月のビニールはりのオヤツにします。 同じように、12月の最後の収穫の頃に買って帰られたり、 地方発送で受け取られたりしたお客さんも、 新鮮なうちに冷蔵庫の野菜室に入れて、 2月くらいまで、大事に食べて下さってるらしいです。
 仏壇に供えてあるパック入りのセキレイは、常温のままなんですけど、 移動させることもなく、じーっと置いてあるものですから、 半月近く経っても、茎が緑色してます。 冷蔵庫に入れたり、出して常温に戻したり、また冷蔵庫に入れたり、 ってのを繰り返すと、傷みが早いですけど、 じーっと置きっぱなしにしとくと、 常温でも、けっこう日持ちするみたいです。

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