山門ぶどう園便り 2002年7月20日
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 実際のインターネット上のホームページには、 商品情報、インターネット通信販売、山門ぶどう園への道案内地図、 出水市周辺の観光紹介、出水市関連のホームページへのリンク、などなど掲載してます。

 鹿児島県出水市..ぶどう狩り、産地直売、地方発送
 出水市観光協会推薦

山 門 ぶ ど う 園

     〒899-0132 鹿児島県出水市下知識町1116番地
           TEL 0996-62-1571 FAX 0996-62-4450
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 近所の小学校の生徒さん達が見学に来たとき、 「春に新芽が出て、花が咲いて、実になって、袋をかけて、着色してきて。」と、 過去3年間、地方発送の箱に入れた「ぶどう園日記」の内容を話します。 そんなとき、毎年のように、 「種をまいてから、どのくらいで葡萄が食べられるのですか...?。」 と質問されます。
 今年は、そんな質問への回答を、僕が知ってる範囲で、書きたいと思います。

 最初に言っときますと、葡萄の木は、種をまいて育てるのではなく、苗木を植えて育てます。
 成績の良い木(美味しい実が採れる木)の枝を土に挿し木して、 根と新芽を出させて育てる自根苗ってのがあります。 知り合いのぶどう園で、「これは自根苗の木です。」と、見せてもらったことはありますけど、 僕自身は、自根苗を作ったことも、育てたこともありません。 着色しやすいのかもしれませんけど、 樹勢が弱くて、他の木よりも多めに肥料をやっても、粒が小さかったり、量が少なかったり、 木の寿命が短かったりします。

 ほとんどのぶどう園では、接ぎ木された苗を植えて育ててます。 葡萄研究所というところで、 台木と言われる木の根と、葡萄の枝を接ぎ木して、苗木を作って売ってます。 それを買ってきて植えるのです。
 ぶどう園によっては、成績の良い木の根と枝をとっておいて、 自分達で苗木を作って植えてるところもあります。 それはそれで、良い木を作る確実な方法なのかもしれませんけど、 葡萄研究所が作ってる苗木は、病原菌が入らないようにして育ててあったり、 同じ巨峰でも系統の良いのを選んであったり、品種改良されてたり、 台木(根)が品種改良されてたり、 良いところがあります。 なによりも、農家が、葡萄の実をつけさせるための手入れと収穫に専念できる、というメリットがあります。

 種から芽が出てきたのを育てると、 こちらの言葉で言う、「下(ゲ)ってくる。」って状態になります。 退化するとか、そんな意味の言葉だと思います。 巨峰の種から育てても、 ヒョロヒョロの細い蔓になって、巨峰みたいな大粒の実にならずに、山葡萄みたいになるらしいです。 あちこちに種が蒔き散らかされてるハズなんですけど、 草に負けるのか、草刈りのときに切ってしまってるのか、 僕自身は、花も実も見たことないのです。

 買ってきた苗木は、春、芽が出てくる前に植えます。 苗木を植える場所の中心に、葡萄棚の高さの竹を立て、 その周りに、根を広げられる広さの浅い穴を掘ります。 苗木の先端を竹にくくり付けて、根を伸ばし広げて、 周りの地面よりも高くなるくらいに土を盛り、地面を藁で覆います。
    

 他の葡萄の木の枝から新芽が出てくる頃になると、 苗木からも新芽が出てきて、葉っぱが広がり、枝が伸びていきます。 苗木を植えた年は、できるだけ枝を伸ばし、木を育てることに専念します。 そのために、花芽がついてても、すぐに欠いで、 花が咲かないように、実ができないようにするのです。

 2年目の春になると、去年伸びた枝の節々から新芽が出てきて、 だんだんと枝が広がっていきます。 花芽がついてれば、手入れして花を咲かせ、実を採ります。 3年目くらいまでは、花芽が小さかったり、花芽の形が良くなかったりで、 まともな房型にはならないし、箱詰め用には使えないんですけど、 とにかく、花を咲かせて実をつける、という癖をつけさせるために、手入れします。 ちゃんと育てば、4年目頃からは、まともな実をつけるように、収入につながるようになります。 ちゃんと育たなかったときは、また苗木を植え直して、ちゃんと育つのを待ちます。

 本園の方には、苗木、2年目、3年目の若木が、数本植えてあります。 新品種という程のものではないんですけど、 自分とこで育てたときに、 どんな粒サイズになるのか、どんな味になるのか、お客さん好みの味になるのか、 試しに植えたものです。 今年は、ちょっとだけ食べられると思います。 美味しかったら、来年頃からは、お客さん達の口にも入るハズです。
 今現在の苗木のカタログに、お勧めって書いてあっても、 自分とこの土地と栽培方法に合うかどうか、分かるのは4年後だし、 その間にお客さん達の趣向が変わってしまうことだってあるし、 品種の選択って難しいんです。 だからと言って、どれか育つだろうって、めったやたらと混植して試してると、 芽の出る時期が違ったり、花咲く時期が違ったり、温度管理も違ったり、 どれもまともに育たなかった、ってことにもなりかねません。^^;