山門ぶどう園便り 2007年7月20日
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ぶどう狩り、産地直売、地方発送
出水市観光協会推薦   山門ぶどう園
  〒 899−0132 鹿児島県出水市下知識町1116番地
  TEL 0996−62−1571    FAX 0996−62−4450
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    ○ 巨峰              ・・7月中旬〜9月
    ○ ロザリオビアンコ(マスカット) ・・8月〜11月
    ○ 甲斐路・セキレイ(赤嶺)    ・・8月〜12月
    ○ ピオーネ(種無し)・瀬戸ジャイアンツ(種無し) ・・試験生産中

 夏のぶどう狩りシーズンには、ぶどう園に入って狩り採ったり、 休憩所から眺めたりして、 葉っぱが繁って、果袋が下がってる様子は、 よく見る風景だと思いますが、 シーズンオフのぶどう園の様子は、なかなか見る機会がないと思います。 ぶどうは、落葉果樹で、秋冬には、葉っぱが落ちて、 枝ばかりになって、夏とは全く違う風景になるのです。 そんな冬の風景を紹介したいと思います。
 収穫後の葉っぱの色、枯れた葉っぱの色は、品種によって違います。 巨峰は、多分、黄色か茶色になって落ちるんだろうと思うんですけど、 枝に付いたまま枯れてるとこを見た記憶がなくて、 雨風のために、いつの間にか地面に落ちてて、 それを見ると、茶色で、カラカラに枯れてます。 ロザリオビアンコの葉っぱは、 徐々に緑色の色素が抜けてきて、黄色になります。 収穫が終わるまで、天井をビニールで覆ってあるので、 変色してからも、枝に付いてる期間が長くて、 綺麗な黄色の葉っぱが印象に残ってます。 セキレイの葉っぱは、黄色になったり、紅色になったり、木によって違いますけど、 テラスの下のセキレイは、風が当たらないってこともあって、 紅葉した後も、枝に付いてる期間が長くて、 時間帯、眺める角度によっては、お日様に照らされた葉っぱが、 黄金色に輝いてるようにも見えます。 セキレイを買いに来られたときには、 紅葉狩りっぽくテラスを眺めて、 落ちてる葉っぱもキレイにしてるものですから、 お持ち帰りになるお客さんも多いです。
巨峰の葉が枯れてるとこ (巨峰) セキレイの紅葉 (セキレイ)
 11月頃、寒くなって巨峰の葉っぱが落ちてしまうのを待って、 剪定シーズンが始まります。 葉っぱが残ってるうちに枝を切ると、切り口から水が垂れてきて、 「必要な養分が含まれた液じゃなくて、単なる水らしい。」って言われてはいるんですけど、 切ったとこから水分が出ていくのは、木にとっては良く無さそうで、 気になってしまうので、 枝を切っても水が垂れなくなってから剪定を始めます。
 その前に、来年のぶどう棚のスペースを確保できそうにない木を間伐します。 剪定バサミとノコギリで、すべての枝を切り落として、 スコップ、ナタ、ノコギリで根を切って、引っこ抜いてしまうのです。 若木から成木に成長する期間は、毎年、木が大きくなって、 1本当たりのぶどう棚の占有面積が広がっていきますから、 毎年のように、隣の木と枝が重なるようになってきて、 その度に、植えてある位置、間隔、 それに、できれば成績の良い木を残したいので、 そこらあたりを考えて、間伐しますから、 だんだんと木の本数が減ってきます。
ロザリオの間伐 巨峰の間伐 剪定後 (剪定後)
 来年は、今年の実を生らせた枝の節々から新芽が出て、実を生らせることから、 剪定して残す枝(新芽が出てくる枝)を、種枝と言ってます。 春に新芽がでてからも、芽欠きによって芽数を減らすことはできますけど、 増やすことはできませんから、 種枝の本数と長さによって、芽数の最大値が決まってしまう剪定は、大事な仕事です。 芽数が少ないと、房数が、収穫量が少なくなりますし、 木の勢いの割りに芽数が少なすぎると、 枝が強く伸びすぎて、花が流れて、実ができなくて、 さらに収穫量が少なくなることもあります。 逆に、芽数が多いと、上手くすると、房数、収穫量が多くなりますけど、 下手をすると、収穫量が多過ぎて、木が弱ってしまうこともあります。

 で、「どの枝を、どのくらいの長さに切れば、ちょーど良いんですか..?。」、 「どのくらいの枝数を残せば、ちょーど良いんですか...?。」って話なんですけど、 「木の勢い(樹勢)が強すぎないように、弱すぎないように、 同じ木の中で、強い枝、弱い枝の差が大きくならないように、 粒の太り具合や色着き具合に格差ができないように、 どの枝にも平均して栄養が行き渡るように、 その木の樹勢を見ながら剪定します。」ということで、 結局、「長年の経験と勘によって」という職人っぽい話になるのです。
 剪定、樹形の考え方は、ぶどう園によって、いろいろです。 とにかく良い種枝(太くもなく、細くもなく、 平べったくなく、丸い、すーっとまっすぐ伸びて、色が良くて、節間が短い枝)だけを残して、 樹形は、あんまり気にしてないとこもあれば、 僕の父のように、「種枝以外の無駄な古い枝を、できるだけ少なく、すっきりした樹形にせなイカン。」 ってとこにも神経使って、時間かけて剪定する人もいます。 目的は、美味しいぶどうを生産することなんですけど、 剪定してる場面だけを見てると、 庭師さんが庭園の木の世話をするかのように、 枝ぶりを美しくするのが目的であるかのように、 寒い中を朝から晩まで頑張ってます。
 「見に行ったぶどう園では、樹形は気にしてなかった(気にしてなさそう)。」ってのは、 見に行った僕達が思っただけで、 そこの園主さんにとっては、その樹形が気に入ってる、 こだわった形なのかもしれません。 でも、見慣れた樹形と違うのを見てると、なんだか気持ち悪くて、 「樹形なんて気にしてないんだろう。どうでも良いんだろう。」って思ってしまうのです。 多分、名人と言われてる人が剪定した木であっても、 他のぶどう園の人が見ると、 「なっちゃいない。」って、納得できないんだろうと思います。

 冬の目立った仕事は、なんと言っても剪定なんですけど、 他にも、肥料を撒いたり、 剪定や間伐で切り落とした枝を、炭や灰にして畑に撒いたり、 防風林を散髪したり、ぶどう棚やビニールハウスなどの施設の修理をしたり、 ビニールはりの準備したり、仕事はたくさんあって、 夏同様に忙しい日々なのです。 そんなこんなで、忙しくしてるうちに、 ビニールハウスの中が春の陽気になる頃には、 種枝から新芽がでてきて、緑色の風景に変わります。
花芽の頃の葉っぱ 花芽の頃の葉っぱ 花芽の頃の葉っぱ