| このページの記事は、ふしぎの森のサイト管理者「ぽぽんたさん」のご好意により掲載させて頂いています。 (平成14年5月18日に石川県立音楽堂で開催されました第8回国際シェーグレン症候群シンポジウムの参加レポートです) |
シェーグレン症候群公開シンポジウムin金沢
モッチーさんのウェブサイト海の中はタイムゾーンのコンテンツで、シェーグレン症候群の患者が参加できる公開シンポジウムのことを知りました。ネットで知り会うことができた方も参加されると言うことと、自分の病気を知るため、SS(シェーグレン症候群)が世界の医療現場でどのような扱いなのかを知りたくて参加することにしました。
5月18日土曜日、特急列車から降りた金沢は少し曇り空でしたが、シンポジウムに参加できることで心はわくわくでした。
会場はシルマーテストや各種検査を受けることができるコーナーと、パネルが展示されているコーナー、それに、海外のお客様にお抹茶の接待をするコーナーが一ヶ所になっていました。公開シンポジウムの行われる会場は大きなコンサートホールでした。
検査コーナーでは、手作りの唾液腺検査がとても興味を引きました。小片に、イソジンと片栗粉がまぶしてあります。下唇の内側をティッシュでぬぐってから、その小片をくっつけて数分おきます。時間がたってその小片をはがすと、そこに、茶色の(イソジン色)点がありました。その点の数で唾液腺の状態がわかるのです。手作りですが、痛みも無いしとても安価にできるとおっしゃっていたので、これが製品化されれば良いのになと思いました。患者も検査結果を見ることができますし、何しろ痛みがない検査だというのが良いでしょ?患者にとって楽にできる検査も考えてくださっているのを知っただけでも、来た甲斐がありました。
他の患者さん達も、いろいろな検査を受けておられました。また、口腔乾燥用のアメリカ製のチューブに入った塗り薬や、ガムのデモンストレーションもあり、実際に塗り薬を使って見ました。味は癖もなく、あまり違和感もありませんでした。おしゃべりや食事で効力が短くなるようですが、睡眠時に塗っておけば朝まで口の不快感が押さえられると説明を受けました。


シンポジウムの会場は飲食が禁止されていたのですが、今回は水分をとっても良いことになったと説明がありました。
今回のシンポジウムでは患者さんとパネリストの方のディスカッションをメインにしていただいたので、海外の患者会の方(スウェーデン、アメリカ、オランダ)、製薬会社の方(第一製薬、日本化薬)、医師の方(金沢医科大学、金沢医科大学医学教育学、マロー大学付属病院、コネチカット大学内科、ツレン大学小児科)とそれぞれ、5分ほどの講演をスライドを使ってそれぞれの活動やお薬について、病気についての説明などがありました。
海外の患者会はウェブサイトを作って、そこで正確な病気の情報を患者に伝え、一人孤立感にさいなまれている患者を救うと言うことを行っています。バーチャルな都市を作り、喫茶店でチャットをしたり、教会もありそこで結婚式も行われると言うお話しでした。年齢にあまり関係なく、ITを利用する患者数は年々増えていると言うことです。
私もネットで病気の情報を得ることができましたし、多くの友人を得ることが出来ました。病気に囚われて、痛みや多くの症状で落ち込んでいた自分を見直すきっかけを作ってもくれました。それは、病気をしっかり知ることができたから、同じように病気に苦しむ患者がおられることを知ったから、なんとか立ち直れたのでは無いかなと思います。
現在でもネット上でのSSの情報は、関節リウマチなどに比べても大変少ないものであることが発表されていました。正しい病気の情報の重要さを考えると、オフィシャルなウェブサイトの必要性を痛感しました。また、製薬会社の日本化薬が作ったシェーグレン症候群情報サイトSS-info.netでは、そのアクセス数や、アクセスされる各種コンテンツの情報から、まだ診断のつかない多くの患者さんが少ない情報をネットから得ようとしている様子がわかったと発表がありました。きっと、患者やその家族、恋人と多くの方が病気について知ろうとしている姿がそこにあると思います。
正確な病気の情報を得ることで、いたずらに病気を恐れず、医師にも積極的に治療についてお話ができ、病気を受け入れ人生を楽しく過ごすことができるのだと言うことが、お話しの中で多く取り上げられました。
現状は海外でも多岐にわたる症状や、医師の認識不足のために病気を確定されるまでに6年〜9年とかかっているというお話しでした。これは日本でも同じ状態ですね。
またシルマーテストや口唇生検などの検査も、ヨーロッパとアメリカではやり方等も違っていますし、検査自体も数回行うごとに結果が違うということがあるということで、診断基準の統一的見解が必要だというお話しもありました。今回のシンポジウムでは、それもお話し合いがあったようです。検査結果が覆されて、診断まで変わることがあるということに驚きました。早期に診断基準を統一していただくことが、患者にとっても必要だと思います。
まとまった機能を持ったSSセンターが無いと言うこと、医学部で教育がされていないということが、大変大きな問題であると感じました。専門家でもSSに対する認識や知識がかけている現状があるようです。現在、東京などで臨床医に対する勉強会などがはじめられていることが話題になりました。少しずつでも、日本中でSSを理解していただける医師が増えることを願わずにはいられません。SSセンターがあれば、SSについてご存知ない医師がネットやメールでの問い合わせなどで、病気について知っていただけますし、病気の認知もすすむのではと期待をもちました。
医学教育の場では現在、患者とのコミュニケーションを身に付ける教育が取り入れられはじめたようです。訓練を受けたボランティアの模擬患者の方を相手にしたり、実際の病院内でそれを身に付ける教育がなされています。アメリカでは俳優さんが、患者役をするそうです。また、金沢医大の相野田先生のお話しの中で、エンパシー(empathy:ともに感じる、共感)と、シンパシー(sympathy:同情)が違うものだというお話しがありました。同情は教育することが出来ませんが、共感は教育できるスキル(技能)だというのです。医師達の話術もまた高まっていくことになるというお話しでした。そうして育った医師が、私達のところまでいらっしゃるまで、少し時間がかかりそうですね。でも、患者とのコミュニケーションについて教育が始まったことに、希望をもちたいと思います。
患者さんの多くが訴えたのは、医師がSSを良く知らないことからくる心無い反応や、心の問題では無いかという言葉などで、うつ状態になってしまうと言うことです。診断されるまでに多くの病院にかかり、懸命に病状を訴え、医師の反応に落胆するのを繰り返しておられる姿は私自身とも重なりました。
これからの教育で、医師も変わっていかれるとしたら大変嬉しいことです。けれど、患者もまた短い診療時間の中で、正確に手短に症状や訴えを医師に伝える努力や技術が必要だということも実感できました。日々の症状や気になった点をメモして、記録として医師に渡すことで、診察を効率良いものにできそうですね。患者会の杉本さんも患者が積極的に治療に関わる上で、患者がやるべきこととしてメモや記録を上げておられました。
私は検査をして欲しいのだと訴えるなど、治療や検査に消極的な医師にたいして、患者自身も自分の身体が知らせている信号をしっかり受け止めて、それを積極的に正確に医師に伝えることが治療にも大切なことだとオランダの患者会の方もお話しされていました。
これは、患者にできる治療への参加だと思います。

薬の服用については、対処療法で症状を訴えるたびにいろいろな薬を出されて、沢山の薬を飲むことで体調がますます悪くなってしまったと言うことや、同じ病院でも医師によって治療方針が違うため、患者が迷ってしまうことなどが発言されました。
製薬会社の方や医師からは沢山の薬を飲むことの弊害や、しっかり主治医とお話しをして、治療や薬について話し合うことが大切だと言うアドバイスがありました。それだけ、患者から疑問などをお話しすることも難しいと言う現状なのですね。患者も現在の治療が必要なものなのかどうか、また、実際に効果があがっているのかどうかを医師とお話しすることが必要だというアドバイスがありましたが、ここまで医師と話しあっておられる方は少ないのではないでしょうか。でも、それが患者にとって必要な、そして効果的な治療を受けることが可能になる手段だとも思いました。
唾液腺を刺激して唾液がでるのを促すセビメリン(サリグレン、エボザック)は、消化管や汗腺にある受容体などにも影響することで、効果がある反面、腹痛や下痢、吐き気、発汗などの副作用もあるということです。薬剤だけに治療効果を求めるのではなく、いろいろな対処法を身につけることも大切なようです。
慢性病であるということは、治療が長く続くことや、治療費のこと、家族や会社での人間関係と、精神的に追い詰められてうつ状態に陥ることが多いと言うことです。精神的な病気にまだ偏見があることから、精神科や心療内科の受診をためらう患者さんに、けして恥かしいことでも、隠すことでもなく、慢性病では精神的な病気もその治療の一環として、一緒に治療していくことの必要性も話されました。痛みの慢性化は疲労感とともに精神的な負担を大きくしますものね。ただ心療内科や精神科の医師も、SSのことを理解していただける方でないと漫然と抗うつ剤を服用するだけになってしまうことは、私も体験したことです。
医師からも製薬会社の方からもお話しがありましたが、あまり過度に薬に期待することなく、最低限の薬を利用しながら症状の様子をしっかり観察し、生活環境などにも気をつけて病気と付き合っていくという姿勢も必要だなと思いました。
沢山の症状のため、また多くの医師に認知がないために、病気の特定ができない、治癒に持っていける特効薬もないということで、不安や辛い心情を患者さんがお話しされていました。また、併発した病気を持たれている方も多く、チーム医療が出来る体制が患者にとって必要だと実感しました。沢山の診療科を受診することも、患者とって大きな負担です。けれど、医師の協力体制など現在の医療現場では難しい問題を抱えているようです。なんとか、チーム医療をできる体制を作っていただきたいと思います。
また、SSだけではなく、重篤な症状になるかもしれない併発した病気の治療さえも受けることが出来ずにいる方がおられ、病院を変わるという選択をしなければならないときに、その地方の医療環境などがあって自由に変わることができない、治療を受けることができないと言う現状もお話しされていました。
病気を知って、理解して、受け入れる。 薬や副作用について、しっかり知る。 結婚、妊娠などについての問題を認識する。ストレスに対処する方法を身に付ける。 ボランティアなどの活動に参加する。生活の向上について学ぶなどの幾つかの病気との付き合い法が紹介されまた。
そして、菅井医師から19年後くらいにはSSが治癒できる病気になるという予測が発表されました。予測は予測に過ぎないとしても、少しでも早く実現できることを願ってくださる医師の姿に、未来を見つめている医学に期待したいと思います。

ここで、ツレン大学 マット・ローレンス医師からお話しがありました生活上の注意と治療について書いておきます。
目の乾燥について
*温シップを行い、まぶた目じりを清潔にし、人工涙液をさす。
*状態を悪くする環境(乾燥した風に長時間あたる、長時間読書、長時間PCの画面を見る、低湿度の部屋、エアコンの部屋にいるとき)を人工涙液の点眼を多くすなどで改善する。
*涙をだすために刺激する薬剤(シクロスポリンの外用薬、ピロカルピンの内服薬:これは現在開発中のお薬でいずれ販売されるようです)を使用する。
*涙腺を乾かすのを防ぐために、涙点閉鎖手術をレーザー照射、コラーゲンなどで行う。
飲んでいる薬剤でひどくなることがある
シェーグレン症候群を知らない医師からの投薬で、症状が悪化することがある。降圧剤、心臓病、筋肉に対する薬、パーキンソン病の薬、尿失禁の薬、抗痙攣薬、市販の抗ヒスタミン剤、あるいはうっ血除去剤など多くの症状を悪化させる薬がある。
口の乾燥には
*充分な口腔内衛生が大切です。
*一日最低2回は歯を磨く、フッ素入り歯磨きを使用して歯をみがく。
*毎日デンタルフロスを使うことが重要になります。
*口内菌の感染には長期に抗菌剤を使用しなければならない。
*唾液弛緩剤を使って、水に変わって口をしめらせる。
*シュガーレスガムを噛んで。唾液の分泌を刺激する。パラフィンワックスを噛む。
*ピロカルピンで唾液を出す。
*食事の内容を注意して、甘いものをあまり食べないようにする。
*砂糖の摂取をさけることも重要です。虫歯に気をつける。
鼻の乾燥には
*鼻は副鼻腔炎に気をつける。
*毎日カーペットに掃除機をかける。抗菌マットを使う。
*ペットは外で飼う。
*加湿器を使う。特に寝室では使用することが重要です。
*乾燥や鼻つまりをさけるために点鼻薬を使用する。
ヨウカカリウムを使う薬物療法もあります。
肌の乾燥には
*肌はお風呂に入ったら、必ずスキンクリームを使うこと。
必ずプロテクションを一枚つけるようにクリームを使います。
*サンスクリーンを使って、紫外線にあたらないようにすること。
膣乾燥については
*膣乾燥に関してはビタミン軟膏を使う。
*閉経後の女性にはエストロゲンクリームで水分を補う。
疲労感には
*疲労感、ストレスをさける。
疲労感は、早朝、午後早い時間に感じることがあります。抗炎症剤で治療がいることがあります。
朝早くの倦怠感は就寝中の筋肉痛や関節痛で充分眠れないことによる疲労感です。
*またリラクゼーションテクニックを導入することで、慢性疾患にできるだけうまく付き合うために、ストレスを軽減することも重要になります。
抑うつ症状には
*抑うつ症状はしばしば見過ごされやすい。
慢性疾患があるために、毎日反復的に薬物治療を受けることなどで、患者にとって非常に大きな負担になります。こう鬱剤で治療する、いろいろなことを相談をすると言うことが、患者の生産性を保ち日常生活を送るために重要になります。
目の乾きや口の渇き、体中の痛みや耐えがたいような疲労感などの、医師にも回りの家族や同僚にも理解してもらえない症状を抱えて、私達は毎日を過ごしています。今私達にとって必要なのは、正確な病気についての情報と、個々の不安に対して答えてもらえること、お互いの辛さを分け合える場所ではないでしょうか。
海外の患者会の方が発表されているように、社会にSSを認識してもらうために、まだ自分の体調の悪さがこの病気であることを知らない患者さんに、主治医から充分な説明や治療を受けることができない患者さんに、そして、患者を支える家族のために、ウェブサイトが担う役目は大きなものがあると考えます。
私が患者会に参加するのは、参加することでここにも患者がいるのだということを認知してもらうことになったらと言うことと、研究してくださる医師や医療関係者の皆さんと少しでも手をつないで治癒にむけて、例えわずかな力でも背中を支えることができたらと考えるからです。患者が他にもいること、患者が行っているいろいろな工夫を知ること、研究してくださる方達がいること、これが、落ち込んでしまう気持ちを元気にしてくれる素だと思います。
まだまだ先はながそうですが、自分の身体ですし自分の人生ですから、あきらめずに医師とも、また多くの患者さんとも、家族や同僚ともコミュニケーションを取る努力だけはしていきたいと考えた金沢の旅でした。
患者が声を出して行かなければ、社会や医療現場を変えることはなかなか難しいと思います。けれど、その希望も捨てたものではないと思えたことがお土産になりました。
SSセンターの実現や、いろいろな診療科の医師がさまざまにあらわれる症状や併発する病気にたいして、手を組んでくださるチーム医療が実現されることを切に願いました。

金沢でシンポジウムに参加できたことは、大変恵まれていると思います。私自身も来年の患者会への参加は、家族の介護や経済的な面から難しいと考えています。こうした集まりにこられた患者さんが、一人でも多くネットや患者会の会報などで見聞きしたことや気が付いたことを発信していただけたら、多くの患者さんが希望をもち、また現在の診療について考える機会になるのではないかと思いました。
私は患者としてだけでなく、障碍を持つ患者の家族として、いつも辛い症状をもち、進行する病気を抱える患者を見守る家族としても、周りの人間も大変辛い時間を一緒に過ごしているのだと感じます。もちろん、症状を持つ患者さんが一番つらいのだと思いますが、家族に対する心のケアや、病気を知るための機会が与えられることも、慢性疾患を治療する上で大変重要なのではないかと体験から考えます。
ここで、こうした機会を作っていただき、時間も労力もかけていただいた金沢医大の関係者の皆様、公開シンポジウムで忌憚ない意見を伺えた海外からのパネリストの皆さん、薬について真摯にお話し下さった製薬会社の皆さん、そして、お会いできた患者会の皆さんに心からのお礼を申し上げたいと思います。
モッチーさん、この場をお借りできたことを感謝いたします。
ありがとうございました。