平成14年度鹿児島県大学図書館協議会第1回講演会記録

                                      鹿児島県大学図書館協議会研修委員会    
                                                    小林 和代(鹿児島国際大学)

1. テーマ : 先史・古代の精神文化

2. 講 師 : 上村 俊雄 教授(鹿児島国際大学 国際文化学部)

3. 日 時 : 平成14年12月17日(火) 15:30〜17:00

4. 場 所 : 鹿児島純心女子短期大学 27号館 510教室(5F)

5. 参加者 : 17名

6. 研修会の概要
「先史・古代の精神文化」と題して講演が行われた。講演の要旨は以下のような内容であ
った。

 科学万能と云われている現在においても、前近代的と思われるような祈祷や儀式が行わ
れていることをしばしば見聞きする事がある。人々は、心に不安を生じたとき、精神のよ
りどころを宗教や自然界の事象に求め、それらを崇拝し、信じようとする。

  例えば、ひときわ目立つ山岳・巨大な岩・大木などをあがめる自然崇拝は、今日でもあ
るが、おそらく先史・古代においても同様なことがあったと考えられる。昔の人々は、自
然界に生き抜くための心のよりどころにして、何かにすがることによって、心の安堵を得
ようとした。
 
  遺跡から発見される土偶や岩偶は豊かな生産を願って造られたとする考え方がある。赤
ん坊の出産、そこに女性の大きな霊力を見、古代の人々はこれらの女性像に思いを託し、
祈ったのではなかろうか。人骨や埋葬施設、土偶や岩偶、あるいは祭祀に使用されたと思
われる土器などに、真っ赤な赤色顔料を塗彩したものが遺跡からしばしば発見される。生
命の源である血液の色と似るところから、古代人は「朱」の色に特別な意味、赤の霊力を
意識し、宗教的な意味を加味したものであろう・・・・などなど。

  先史・古代の人々の精神文化に触れながら、財部町耳取遺跡で女性を表現したとされる
旧石器時代の線刻礫(ビーナス像)、国分市上野原遺跡や加世田市上加世田遺跡出土の土
偶、鹿児島市大龍遺跡や垂水市柊原貝塚出土の軽石でつくられた岩偶、吹上町黒川遺跡の
女性の足の骨が切り取られて背骨の下に置かれて埋葬された特異な事例など、鹿児島県内
の遺跡を中心にスライドを使用して講演がおこなわれた。


(アンケート集計結果)

回答 男性1名 女性10名

Q1 講演会の開催の時期について
  ちょうど良い(8) 早い時期が良い(3) もう少し後でもいい(0)

Q2 講演会の時間について 
  ちょうど良い(10) 短かった(1) 長すぎた(0)

Q3 講演会の内容について
   良くわかった(8) 難しかった(0) どちらとも(3)

Q4 今後の講演会の内容についてご希望・ご意見を
      ・少し専門的という気もしましたが・・・ありがとうございました。

      ・内容についてはおまかせします。

      ・図書館学関連が妥当でしょうが、今回の様な異分野の話もとても面白い。
        第2回の講演会があるとすれば、今年の組合せがベターと思う。

      ・鹿児島の遺跡のことがよく分かりました。ありがとうございます。

      ・考古学にふれることが出来、有意義な時間を過ごすことができました。

      ・鹿児島県内にも、多くの遺跡があることを知りませんでした。図書館に関
        する講演だけでなく、今回の講演のような形も良いと思いました。

                                            以 上