図書館広報におけるホームページ活用の問題点
                                                        鹿児島大学 北山信一

0.0図書館情報学研究会・前期報告書(原稿案)より

0.1「図書館広報」としてのホームページ

 「ホームページは、図書館広報の手段になどならない。ホームページは何も発信してい
ないし、そもそも、それには実体が存在していない」

1.”お知らせ”される、「ホームページ」たち
  WWW上の情報は公開される事とそれが伝わる事は同義ではない。
  URLをだれも知らなければ、そこにある情報は、WWWサーバの中に貯蔵されたままで
あるに等しい。

2.「ホームページ」とは一体何だったのか?
 ”ホームページ”の発祥”
 1.CERN(ヨーロッパ素粒子物理学研究所)においてHTMLが開発される。
 2.NCSA(全米スーパーコンピュータ応用研究所)がHTML解析アプリケーション
 「Mosaic」を開発
 3.1990年代に入って、WWWが一般ユーザに普及し始める。
 4.Mosaicには、それを起動したときに自動的に表示するURLの初期設定があった。こ
  れが世界最初の「Home Page」である。
 5.「ブラウザを使って見てもらおう」と思って作成されたHTMLファイルはリンク構
   造を持っており、必然的にそれは「階層」を持つようになった。
 6.すると、当然そのHTMLファイル群には「全体構成の基礎」となる情報、もしくは最初
  に見て欲しい情報が存在する。これをHomePageと呼称し、あろうことかファイルにそ
  う記述する者が現れた。
 7.さらにWWWが普及し始めると、「**がWWWサーバに置いておりインターネット上に公
  開しているファイル群」を指して、「**のホームページ」と呼ぶようになる。

 ”ホームページ”を「WWW」の仕組で捉えてみる。
 W3Cは、WWWを次のように規定。
 「World Wide Webは、情報資源(Resources)のネットワークである」

 WWWは、次の3つの機構で成り立っている。
  1.個々のリソースのWWW上での所在を特定するための規則(URL)
  2.指名された各々のリソースにWWWを通じてアクセスするための通信規約(HTTPと呼ばれ
   るプロトコル)
  3.個々のリソースの提示やリソース間の移動を容易にするためのハイパーテキスト構造
   (HTMLというハイパーテキスト記述言語)

  WWWとはリソースとそれをやりとりする仕組みとの集合体
  1.WWWサーバの中には多くの情報資源が保管されている。
  2.それはHTTPに拠ってUserAgentが取りに行く。
  3.それはHTMLに拠って画面上に表示される。
  4.ユーザの働きかけがあって初めて、ホームページは存在出来る。

 「WWWサーバに置かれた情報資源は、ユーザが自ら取りに行かねばならない。・・・ホー
 ムページは情報を発信してなどいない」

3.”ホームページ”は広報たりうるのか
 ホームページそれ自体は「公開性」を持ってはいるが、「速報性」は持っていない。ホ
 ームページの情報が速報となるのは、そこへ「自分でアクセスした」ユーザに対しての
 みである。
  ホームページとはむしろ広報される「商品」なのであって、本来の意味の”図書館の
 広報活動”とは、切り離して考えるべき?