平成11年度事例報告会-1
「横断検索システム」の試行について
                   鹿児島純心女子短期大学図書館 川路孝昭

1. 横断検索システムとは
  横断検索システムとは、インターネット上に公開されたOPACを機関毎に検索してい
 くのではなく、一回の操作で一括に検索するものであり、当館が導入したシステムは、
 NECが開発し九州大学附属図書館に導入した横断検索システム(UNIX版)のWindows
 NT版である。
  検索にあたっては、まず、検索対象機関を指定し、その後、キーワードを入力する。
 キーワードは複数入力でき、「and」「or」「not」を指定できるようになっている。
  ただし、書誌項目を指定した検索はできない。ヒット件数は機関毎に表示され、そ
 の後、ヒットした書誌を一覧するために統合表示させる。このヒット件数の上限は、
 リンク先の機関が指定している値(1ページの最大表示件数)が用いられるため、機関
 毎にヒット件数の上限が異なる。また、統合表示の際、同じ書誌と思われるものであ
 っても、少しでも記載方法が異なれば、別の書誌として扱われる。

 *試行中の横断検索システムのアドレス
  http://www.k-junshin.ac.jp/juntan/libhome/
  検索対象の図書館は、現在のところ【鹿児島大学】【鹿屋体育大学】【志學館大学】
 【鹿児島純心女子大学・鹿児島純心女子短期大学】【鹿児島県立短期大学】
 【鹿児島工業高等専門学校】である。

2. 当館の横断検索システムの特徴
  インターネット上に公開されたOPACを一回の操作で一括に検索する横断検索システ
 ムは、九州大学附属図書館をはじめ、いくつかの機関で導入されている。
 ・九州大学附属図書館 http://zeus.lib.kyushuu.ac.jp/htdocs/Qindex.html
 ・大牟田市立図書館 国内図書横断検索
            http://www.city.omuta.fukuoka.jp/tosho/index1.html
 ・ 福岡県立図書館     http://www.fsg.pref.fukuoka.jp/data/Tosyo_Search.asp
  さて、既に始まっているこれらの横断検索システムと比較した場合、当館の横断検
 索システムの特徴として、検索対象機関を鹿児島県内に限定し、県内の図書館の総合
 目録形成を試みようとしている点を挙げることができる。現在は、大学関係のOPACだ
 けを検索対象としてリンクしているが、今年度中には鹿児島県立図書館までを対象に
 して横断検索システムを試行したいと考えている。

3. 今後の課題
  今後の課題として次の二つを挙げておきたい。
3-1 リンク館の増加に向けて
  鹿児島県内の図書館の総合目録構築を目指す以上、多くの図書館のOPACを検索対象
 にすることが必要である。しかも、それらのOPACは、インターネットに公開されてい
 なければならない。
  こうした観点から県内の状況を見ると、コンピュータシステム未導入がいまだ多く
 を占めており、今後、徐々にこれらの図書館がコンピュータシステムを導入しても、
 その館がOPACをインターネットに公開するかどうかは不明である。
 そこで、横断検索サービスをさらに充実させるために、目録情報を決められた仕様
 で提供してもらえれば、その情報をサーバ側に機関単位で登録し、それを横断検索シ
 ステムにリンクするような仕組みを用意する必要があるだろう。この方法が確立する
 なら、横断検索システムへの期待はより一層高まるものと思う。

3-2 維持費
  リンク先のOPACのシステムが変更された場合、横断検索システムもプログラムの修
 正をしなければならない。通常、図書館システムはリース契約で導入されているケー
 スが多く、したがって、4年〜5年間隔でシステム更新が行われる。よって、横断検索
 サービスを維持していくためには、随時、システムの変更が必要となる。そのための
 経費確保が必要である。

  今後、この2点を検討しながらシステムの充実に向けて取り組む予定である。