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健康教室health column

脳神経外科と画像診断の進歩

指宿脳神経外科 増田 次俊

 

  私は子どもの頃に見たアメリカドラマの「ベン・ケーシー」とアニメの「ブラック・ジャック」に憧れ、脳外科医となり30数年が過ぎました。その間、脳神経外科の進歩には目を見張るものがありますが、それは画像診断技術の進歩と切っても切り離せません。

 今では信じられないかもしれませんが、昔は気脳撮影といって、背中から空気を入れて脳の形をエックス線で撮影し、病変を診断・治療していた時代がありました。その後、首の血管に造影剤を入れて脳血管撮影をし、病気を予想していた時代もありました。この当時は立派な先生方でも、脳出血と脳梗塞を間違えて診断していたそうです。
 コンピューター断層撮影装置(CT)が出てきたときは、青天の霹靂というか、画期的でした。生きている人の頭の中が手に取るように分かるのですから。開発したゴッドフリー・ハウンズフィールドはノーベル賞を受賞しました。
 私が医学生のときに、都城の藤元病院に南九州で初めて磁気共鳴画像装置(MRI)が導入されました。それまで2次元的に脳の中を撮影していましたが、MRIでは縦・横・斜めと、3次元的に脳の中を撮影でき、放射線を使わないということで、より生体を傷つけることが少ない診断へと移って行きました。 そして、いよいよ治療から予防へと診断技術は進んで行きました。
 CTはヘリカルCTへ、さらにマルチスライスCTへと進歩しました。ヘリカルとは、らせん状という意味で、台が等速で動きながらビーム(放射線)を出し続ける方式です。リンゴの皮むきのイメージです。マルチスライスはビームが一斉に放射される方式で、現在では320列もあります。1回でCT320回分の画像を撮影できるわけです。二つを合わせることで、息止めせずに、心臓の血管(冠動脈)撮影もできるようになりました。
 MRIは、磁場の強度が年々高くなり、まるで白黒テレビから4Kテレビに変わったように、病変部がより詳細に分かるようになりました。さらに撮像法も進化し、拡散強調画像では急性期の脳梗塞が、T2*(ティーツースター)強調画像では時間の経過した脳出血が、VSRADでは認知症の鑑別ができるようになってきました。そして、頸部超音波検査や血圧脈波検査等を組み合わせることで、くも膜下出血の原因疾患や動脈硬化による無症候性脳梗塞、無症候性脳出血などが診断でき、生活習慣の改善等に役立てることができるようになりました。
  そして、陽電子放射断層撮影装置(PET-CT)です。PET-CTを使って、がん腫瘍が5mm前後でも見つかるようになりました。次は人工知能(AI)の時代ではないかと思います。機械の方が人間の脳よりも先に異常を見つけてくれる、そのような時代があと数年のうちに来ると思います。そのころは、採血や尿検査も併用してがんが早期に見つかるようになると思います。
 治療も日々進歩しております。健康寿命を延ばすためにも、病院受診を嫌がらずに、上手にかかりつけ医と付き合っていってください。きっと、あと数年で医療の世界が劇的に変化していると思いますから。




関節の痛みやこわばりでお困りはないですか?

今林整形外科病院 大迫 浩文 

 
  関節の痛みやこわばりの原因は、変形性関節症・関節リウマチ・膠原病などがよく知られています。今回は、働き盛りの女性に多発する、関節リウマチについて説明いたします。

  関節リウマチは、関節の腫れや痛みを引き起こし、後に変形をきたす病気です。30歳代~50歳代で発病する人が多く、特に女性に多くみられます(男性の約3倍)。30歳以上の人の、1%がかかるといわれています。この病気の原因は、細菌などから体を防御するシステム(免疫系)に異常があり、その結果として関節の滑膜細胞が増殖し、痛みや腫れが起こり、軟骨・骨の破壊が進んでいきます。

  症状には、関節と関節以外に現れるものがあります。手指や足の指、手首の関節の痛みと腫れが、数週間から数カ月の間に徐々に起こります。触れると熱感があることもあります。肘・膝・股関節などにも症状がみられることもあります。朝起きた時に、手指のこわばりを強く感じるのが特徴で「朝のこわばり」と呼ばれます。病気が進行すると、関節の骨や軟骨が破壊されて関節が変形し、関節を動かせる範囲が狭くなります。

 また全身症状として、疲れやすい・脱力感・体重減少・食欲低下・貧血・骨粗しょう症・リウマチ結節・肺線維症・後頭部が痛んだり手に力が入りにくくなったりしびれたりする環軸関節亜脱臼・涙や唾液が出にくくなるシェーグレン症候群など、さまざまな症状がみられます。

  関節リウマチの診断には、2010年欧州リウマチ学会の診断基準が用いられます。症状・理学所見の他、診断に役立つ検査として血液検査(リウマトイド因子「RF」・抗CCP抗体・MMP-3、CRP)や手のレントゲン検査があります。
  RFは、関節リウマチの患者の80~90%で陽性を示しますが、早期例では陰性を示すことがあります。抗CCP抗体は、RFよりも早期から陽性を示すとされており、RFで診断のつかない早期例に検査の適応になります。 手のレントゲン検査では、骨びらんなどリウマチ特有の所見がみられることがあります。早期リウマチも磁気共鳴画像装置(MRI)や関節超音波(エコー)検査で診断できます。

  治療は、患者さんの生活の質を維持し、症状が落ち着いた状態に導くことを目的に行われます。
 最近では、メトトレキサートや生物学的製剤、JAK阻害剤などを使用することで、早期であればリウマチの進行を止められる時代になりました。そのため、発病してなるべく早い時期に診断して、症状が落ち着くようにしっかりとコントロールすることが重要となります。

 手のこわばり・関節痛などが気になる人は、早めに専門医を受診することをお勧めいたします。




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