コズミックサーフィン開発の経緯


  コズミックサーフィンの原型は、今から16年程も過去にあります。この時期、
「星空も不変ではない」ことを目に見える形として示すことを目的に、『星空の時
間旅行』と名付けた、'10万年前と10万年後の星図'を制作しました。これは、5等
星以上の約1,800星を対象に、歳差と固有運動の影響を考慮して各季節ごとの星図
を示したものです。計算は当時の九州大学計算機センターのACOS-700システムを利
用しました。理論的な基礎はこの時点でほぼ完成していたものの、星図そのものは
約1年かけて手書きしたものでした。この星図は第19回アマチュア天文研究発表大
会(1986:明石)において発表しています。
  その後、優秀なるC言語プログラマ瀬戸口貴司氏と出会ったことも大きな要因と
なり、1998年から『星空の時間旅行』のソフトウエア化に取り組み始めました。ま
た併せて星数もYale Bright Star Catalogue(BSC)の全9,110星に拡張し、さらに
J.H.Lieske の歳差式の採用,他の星から見た星空の計算など機能を大幅に向上さ
せ、名称も『コズミックサーフィン』と改めました。恒星数が非常に多く計算量も
膨大なため、パソコンの能力も近年のものでないと快適に動作しません。そう考え
ると15年は必然の猶予期間だったかもしれません。
  開発の過程では多くのクリアすべき技術的問題がありましたが、特に配慮した点
は、極めて長い時間を扱う目的のために、極力近似を避けた点でしょう。しかしな
がら、コンビを組んで開発しておりますとそれらは障壁とはならず、むしろソフト
ウエアが一歩々々進化して行く過程を楽しむことが出来ました。
  せっかく開発しても信頼して頂けるかという不安もありましたが、この点におき
ましても、相馬充先生(国立天文台),坂上務先生(九州大学名誉教授,当会元会
長)らに評価を頂くことができ、大きな自信を得ることが出来ました。両先生には
この場をお借りしまして御礼申し上げます。
  また、コズミックサーフィンの制作にあたり、私共と(株)アストロアーツとの仲
介にご尽力頂きました、(株)星の手帖社の阿部昭さま、並びに、商品としての付加
価値を高め、世の中に送り出して下さいました、(株)アストロアーツのスタッフの
皆さま、とりわけ木下昭彦,寺田文武 両氏には感謝致しております。
                                                                    (早水)

−戻る−